袈裟を仕立てている職人さんから「誤って血を付けてしまったけれど、取れませんか」という依頼を受けました。
品物を受け取ってみると、シミの周りに水形のようなものがあり、少々スレも出ていました。こちらで、シミ抜きをしてみると、普通の状態より取れにくくなっていましたが、何とか取ることが出来ました。品物を納めた時に聞いてみると、大根のひとかけらを使って血液のシミを取ろうとされたそうです。が、かえって、スレをおこし、シミも取りにくくなってしまいました。
着物のお手入れ関係の古い書物には、確かにご飯を使ってシミを取る方法が書かれていることがあります。事実、ききょう屋西別府の方へも、シミの箇所にご飯粒が付いたままの着物が、お手入れに出されてくることがあります。これは、今の時代には適用しない方法です。ご飯をつけると、新たなシミの元になり、その上、はじめのシミも取れにくくなってしまいます。
繊維には、絹・羊毛などの動物性繊維、麻・綿などの植物性繊維、ポリエステル・ナイロンなどの化学繊維があります。それらの種類によっては、適さない薬品あり、全ての繊維に使える薬品などあるはずがありません。「シミ抜き薬品」には、シミや色に対して、すぐに反応する塩素系のものが入っていることが多いため、それを絹につけると、地色が抜けるばかりではなく、生地が傷んでしまいます。数十万、数百万もする着物が、たった数百円の薬品のために台無しになってしまうことがあります。
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